手軽で低コスト、更に環境にも良い交通手段として電動車ビジネスは徐々にその可能性を現してきた。

ここ数年を見ると、電動自転車のマーケットは速いスピードで成長をしていることが分かる。
電動自転車、電動バイク全体の売れ行きは37万台に上り、一般ガソリン駆動バイクの14%を占めるようになった。更にこれが、2014年には50万台と35%に急成長している。

本分野の専門家によると、2015年はこれが更に成長すると言われている。
ガソリン駆動バイクよりも価格が安く、特に子供の為に購入する親御さんやお年寄りの方向けに買いやすくなっている。

本分野のマーケット調査によると、電動車の現状価格帯が様々な種類にて、700万VND~1800万VND(約37,000円~約96,000円)で販売されている。平均1000万VND(約53,000円)として換算してみると、2014年の台数から換算して総売上は、約5兆VND(約267億円)になる(1000万VNDx50万台)。

HKbike社の調査によると、現在全国で電動車を販売している店舗は約1800箇所あるという。
この内、毎年の閉店率が40%だが、新規開店率が60%と閉店率を上回っている。

どの店舗もほとんどが自営で、個人が投資しており、シーズンに合わせた販売活動している状況だ。
一番売れ行きが良いのは、学生向けの消費が増える5月~10月期間だが、本分野はまだ若い為、信用力などが不足していることもあって、1年~2年の間に閉店に追い込まれる店舗も多い。

仕入れについては、多くが組み立て企業や商社などから仕入れており、中国製がメインだ。

北部にある卸業者は、Detech、VietThai、Sufat、HTC等で、南部ではAshama、Hitashaがある。

北部の卸業者の特徴としては、ほとんどが原価の低い商品で中国から輸入して組み立てている。その為、いかに数量を売るか方が中心となっており、品質保証やアフターサービスが軽視されている。

これとは反対に、南部ではもともと自転車のマーケットがまだ利益率が高いこともあり、電動車にはまだ注力していない状況だ。また南部では、電動車の競争力が低く7年在庫車であっても売れてしまうという事情がある。

地方の方での電動車ショップのある代表によると、現状の商売方法にはうんざりしているとのこと。
というのも、仕入れは確かに安いが、壊れることが多く、また卸側の品質保証もはっきりしていないことが多いという。できることなら、顧客との長期信用を得る為に生産からアフターサポートまでコミットできる商売に移行したいのだという。

HKbike社の代表であるレ・ラン・フン(Le Lan Huong、女性)氏によると、上記の希望を叶える為には、企業は自ら設計・研究開発・組み立て・販売・アフターサービスの全部門を構築する必要があるという。これを実現することで、ベトナム品質検査局の示す規準を満たす品質を保証することができ、大規模で長期的なビジネスがしっかりできるようになるとのことだ。

もし、中国から輸入したとしても、確かに安いがしっかり品質検査を行う必要がある。実際にAppleなどの超大手企業も中国で生産しているが、これを徹底しているから成立しているのだ。

HKbike社では、まず新しいモデルの電動車が出た際には、まずR&D部門がマーケットを調査し、その後マーケットに見合った商品だけを選定してから中国に注文するという。その後、製造された商品がしっかり要件通りの規準を満たしていることを検査してから卸すようにしているとのことだ。これによって販売された商品は品質がしっかりしており、走行距離寿命を長くすることができる。

約4~5年間の走行経験を経たことで、現在の消費者もより品質の良い電動車を選択するレベルまで向上してきている。その為、今後は、多少高い金額を払ってでも品質面と法律面が保証されている商品を購入する傾向にあるのだ。

輸入手続き証明、生産地の明確化、品質証明などの書類がしっかりそろっていることが購入決定をスムーズ化する。
その為、それらが不足している商品の販売店からは顧客の足は遠のき、反対に先のきちんとした商品を販売する企業から顧客は商品を購入するようになるのだ。

電動車マーケットの5兆VND(約267億円)は、今後毎年まだ成長し続けすることが予想される。なぜなら、ガソリン駆動バイクは既に頭打ちの状況にあり、学生などからのニーズが高まっているのは確かだからだ。

しかしながら、当マーケットへの参加者全員にこのチャンスがあるわけではなく、現在の経験知が向上した顧客に対応できるのは、長年の経験と知識を持ち、商品研究とアフターサービスがしっかり行える企業にこそそのチャンスがあるのであろう。

ソース:VNEXPRESS(2015年11月30日掲載記事)