銀行員は、カフェでタブレットを手に持ち接客、堅苦しいPCや書類などがほとんど無い。

「Timo」は、ホーチミン市3区のPasteur通りの面通りから少し奥まっている為素通りでは気づかないが、少し注意して見ると紫をベースカラーとした建物があるのに気づく。

広告やバス停なども全てが紫色に塗られており、外から見たら「Timo」はカフェのように見えるが、実際にカフェなのだ。

このカフェでは、お客さんも普通のカフェのようにドリンクなどを楽しめる。ただ違うのは、Timoカードで支払うと50%割引を受けられるのだ。

そのきれいで親しみのある空間は、その他にあるおしゃれなカフェと同じだと言える。
しかし、普通のカフェと違い、スタッフはみな紫色のユニフォームを着用し、タブレットを手に持ちTimo銀行のお客さん向けの接客しているという点だ。
このカフェにやってくるお客さんは、インターネットで事前登録し、来店して書類への書き込み及び使い方の説明を受け、15分ほどで当銀行のATMカードを受け取ることができる。



TimoはVPBankとGlobal Online Financial Solution社の共同デジタルバンク事業として開設されたサービスであり、ベトナム初のデジタルバンクサービスとも言える。その特徴は、取引支店がカフェとなっており、書類手続きがかなり合理化され、親切でお手軽感な空間を演出している。
また、このカフェでは、銀行スタッフは自由に移動し、唯一の仕事道具がタブレットという今までの伝統的な銀行とは全く違うスタイルをとっている。


Timoは、VinaCapital共同創設メンバーであるドン・ラム(Don Lam)氏が5年前から温めてきたデジタルバンク事業で、2014年から構築開始していた。その後、法務面をクリアする為VPBankと提携した。このことから、TimoはVPBankのデジタルバンクとして、またファイナンス分野のスタートアップとして見ることができよう。

5月7日のオープニングパーティにてVPBankの代表からTimoは一般的のデジタルバンクとは全く違う新しいスタイルのサービスだと述べた。90年台、80年台生まれの新世代を対象顧客としており、なぜなら、これらの顧客は携帯電話と生活が密着しており、銀行サービスを携帯電話で利用する可能性が高い世代だからだとのこと。



Timoは、一般的な取引支店を持たず、Timo Hangoutというカフェが唯一の窓口という。お客さんは無料で口座を開設することができ、Timo ATMカードを持つことができる。また、ベトナムにある全ての銀行と無料で送受金することができる。年会費や口座維持費なども無料。TimoのATMカードを使うと、ベトナム全国にあるATMを利用できる(Napasネットワークに限る)。Timoでは、預金・定期預金・携帯電話代チャージ、支払いなどを利用することができる。





Timoを利用したい人は、Webサイトで予めスケジュールを予約しておき、TimoHangoutに来店し、書類への書き込みと案内を受けられる。来店しての対面手続きは、ベトナム国家銀行の規定により、本人確認が必須とされている為だからだという。今後もし、この規定が変われば、お客さんの更なる利便性向上の為、オンライン登録のみにしたい意向もあるという。



Timoに来店したお客さんは、個人証明証を持参し、スタッフの説明を受けながら手続きを行い、15分ほどでATMカードを受け取ることができる。また、スマホでのTimoアプリの使い方説明も受けられる。


それから、Timo Hangoutでは、ATMが2台設置されており、預け入れ・初回PINコード変更なども行える。Timoでは、一般的な銀行のような取引窓口が無い為、TimoのスタッフがATMで直接預け入れのガイドを行い、その後はお客さん自ら実施する形だ。
なお、ATM以外でもVPBankの支店にて預金や振り込みなどを行うことができる。


デジタルバンクサービスとして、Timoのほとんどの取引はスマホアプリやATMカードでの引き出しで完結する。

VPBankの代表が5月7日に発表した内容によると、今回のサービス開設はひとつの方向性を示しているという。それは、金融機関がIT分野スタートアップと連携し、新世代向けのデジタル・ファイナンシャル・サービスを提供するというものだ。スマホとインターネットを持つ人なら誰でもこのサービスを利用することができる。



ソース:ICT News(2016年5月9日掲載記事)