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農業・農村開発省によると、家畜への使用禁止になっているSalbutamolが薬の製造用にのみ輸入が許可されていたということについて、実態はほとんどが薬の製造に使われていないとのことだ。
■ベトナム人がベトナム人を毒している
大きな利益が得られることから、ほとんどの企業が消費者の健康被害を気にせず、本禁止物質を輸入しても薬の製造に使わず、家畜農家に横流ししていた。
600万頭以上の豚が禁止物質を食べていた。
農業・農村開発省検査主任のグェン・ヴァン・ヴィエット(Nguyen Van Viet)氏によると、警察局環境犯罪(C49)課の報告資料によれば、2015年の1年間でSalbutamolを輸入したのは20社で総量9140キログラムになる。その内3トンほどは、各社の倉庫に保管されており、他6トンが市場に販売されているが、その内で規定通りに使用されているのはわずか10キログラムだけだったとのことだ。
「私達の調査で分かったのは、ほとんどの業者が豚を出荷する1ヶ月前頃にこの禁止物質を使っているという、この時期は豚が規準の重量に近くなっており、脂肪が多く生産され、餌の消費も激しい時期です。
また、この禁止物質を使うと、売る側も買う側も好むきれいな豚肉になるということも分かっています。
もし豚一匹100〜110キログラムを売りたい場合、この禁止物質が食べさせられるのは80キログラムぐらいの時期で、同様にもし、130キログラムで販売するなら、100〜110キログラムの頃に禁止物質を食べさせられているのです。
なお、1日あたりの消費量は3.3kgになるので、1ヶ月で100キログラムほどの禁止物質が入った餌を食べさせられていることになります。
それから、100トンあたりの餌にこの禁止物質は1キログラム使用されており、そこから計算すると6トンほど市場に出回っているので、60万トンもの豚の餌にこの禁止物質が入っていることになり、上記の1ヶ月あたり100キログラムから算出すると、600万匹に相当するとし、市場に出回っている2,800万匹の20%以上にもなるのです。
現在、この禁止物質の密輸ルート等については発見していませんが、少なくともほとんど正式なルートで薬の製造目的として輸入されていることは分かっています。」とヴィエットは続けた。
ドンナイ省家畜農家協会副会長であるファム・ドゥック・ビン(Pham Duc Binh)によると、この問題を中国のせいにしてはならないという。
その理由としては、中国でもこの物質の家畜への使用を禁止しており簡単には購入できないとのことだ。
その理由としては、中国でもこの物質の家畜への使用を禁止しており簡単には購入できないとのことだ。
「ベトナムに正式なルートで輸入されているだけではなく、この禁止物質は長年豚飼育に使われており、特に言いたいのは、この豚肉がほとんどベトナム国内で消費されていたということです。これは、明らかにベトナム人がベトナム人を毒しているのです。」とビン氏は話した。
■法律を色んな方法でかいくぐっている
販売業者によると、この禁止物質を食用した豚は国内でしか販売できないという。
というのもこの禁止物質が使われた豚のほとんどは、骨がもろくなっており、輸出などで運搬する過程で骨が折れてしまうからだ。また、海外では輸入品質検査が厳し為、禁止物質が見つかりやすいとのことだ。
更に中国を行き来している商人であるグェン・クォック・チュン氏によれば、「南方から中国との国境を肥えて豚を中国に輸送しようとしても、途中で多くの豚が死んでしまう」とのことだ。
今回のような事態を引き起こしている一番の原因は、農業・農村開発省と厚生省の連携・管理不足によるもので簡単に禁止物質が輸入できてしまったのであり、更に商売上の高い利益と軽い罰則が、これらの業者を止められなかった原因だ。
ドンナイ省家畜農家協会によると、これまでの状況を見ると、当局が禁止物質を発見できるのは非常に難しい状況だという。
というのもドンナイ省では、大きな規模の家畜牧場が2000箇所近くあり、更に数万もの小規模家畜農家も存在しているのにも関わらず、関連当局の調査は年間に数回ほどしかなく、1回の調査で40〜50箇所しか実施しない為、これでは禁止物質の管理ができるわけないのだ。
また、上記のチュン氏によると、ほとんどの大きな家畜農家のオーナーは既に関連当局への対処方法を心得ており、出荷の10〜15日前になると、禁止物質の使用を止め、ビタミン剤や利尿薬等を食べさせ禁止物質の濃度を下げて検査を受けさせるという。その為、簡易検査機では基準値よりも下がっている為、当局の獣医には発見できないという。
更にもっと上手のオーナーもいて、彼らは簡易検査機を購入して予め自分達で検査しておき、陰性だったら出荷するというようなことも行っているとのことだ。
それから、ドンナイ省家畜農家協会副会長であるビン氏によると、この禁止物質が使われている豚は通常の禁止物質が使われていない豚よりもキログラムあたり2,000VND(約10円)高く売れるとのことで、このことが更に家畜農家の禁止物質利用を促進させている原因とのことだ。
現実として、多くの家畜農家はこの禁止物質を自主的に使っており、購入する業者も高い価格を提示して禁止物質の使用を推し進めているのだ。
■禁止物質:輸入価格150万VND(約7,600円)/キログラム、販売価格1500万VND(約7万6千円)/キログラム
Salbutamolは、ぜんそく治療用の薬の製造に使われる物質として厚生省に輸入を認められている。
しかしながら、当局の管理機能が低く、キロ単価150万VND(約7,600円)/で輸入できて、キロ単価1,500万VND(約7万6千円)で家畜農家に売れるという高い利益率に、多くの業者がこれを輸入しては家畜農家に販売。
ベトナム内分泌学会実行委員会委員のDr.チャン・バー・トアイ氏によると、これまでの研究で分かっているのは、ベトナムでぜんそくにかかる成人は4.1%しかおらず、薬の製造に必要なSalbutamolは10キログラムで充分だという。
それなのに、9トン以上ものSalbutamolが輸入されているのだ。
つまり、ほとんどのSalbutamolは家畜農家に販売されていることになる。
農業・農村開発検査主任のグェン・ヴァン・ヴィエット氏によると、今回の調査で禁止物質がほとんど正規のルートで輸入されていたことが分かったので、現在当局によって輸入した業者などの在庫を監視し、これ以上の市場への流出を防ぐことができるという。
■どのような健康被害があるのか
Beta-agonist成分グループであるSalbutamol、Clenbterol、Ractopamineをある一定の量を食べると、豚ははモモ・尻が肥えやすくなり、重量も増え、脂肪分が減って肉質が増えるという。
しかし、人がこれらの豚肉を食べると、SalbutamolやClenbuterolが体内に残り、時間の経過に連れて心臓血管に悪影響し、心拍数増加、血圧増加、身体の震え、消化不良などを引き起こし、悪いケースでは他の病気などを引き起こしたり、命に関わる事態にもなる。
世界中の国々では、既にこのbeta-agonist成分グループの家畜への使用を禁止しており、ベトナムも2002年から使用禁止物質リストに入っている。
ソース:TUOI TRE ONLINE(2016年3月22日掲載記事)